特定技能2号の対象分野拡大について思うこと

『自民党外国人労働者等特別委員会と雇用問題調査会、法務部会は23日、
党本部で合同会議を開き、熟練した技能を有する外国人労働者が取得できる在留資格「特定技能2号」を
現在の2分野から11分野へ拡大する案を了承した。与党内の手続きを経て、政府は6月にも閣議決定する方針。』

(2023年5月23日 毎日新聞)

 

かねてより議論が進められてきた特定技能2号の対象分野拡大が、
実質決定しましたね。

 

これまで特定技能2号が認められていた「建設」と「造船」の2分野以外でも無期限就労や家族帯同が可能となることで、
受入れ企業としては優秀な人材を雇用し続けることができますし、
外国人本人にとっても選択肢が広がることはとても良いことだと思います。

 

現状、拡大分野の2号への移行要件は明らかにされていませんが、
「建設」「造船」分野では特定技能2号評価試験もしくは技能検定1級の合格が必要です。
同様の要件となった場合、そのハードルは決して低いものではありません。
このことは、3月末時点において特定技能2号での在留者が全国でわずか11人しかいないことからも想像できます。

 

とはいえその低くないハードルは、試験の難易度が原因とばかりは私は思いません。
(もちろん原因のひとつだとは思いますが)
受験者数が公表されていないので合格率が分かりませんし、
そもそも難しい試験を受けてまで今の会社で,日本で働き続けたいと思っている外国人はどれだけいるのでしょうか?

 

賃金競争では円安の影響もあり、すでに台湾や韓国、オーストラリアなどの諸外国に負けています。
外国人を替えの効く単純労働力として見ているような企業は、早晩に当の外国人からも見限られることでしょう。
そのような状況で日本が選ばれるには、受け入れ企業の努力が必要不可欠です。
その努力とはつまり、企業が外国人のキャリアアップを本気で考え、幹部登用までも見据えた中長期的な人材育成の仕組みをつくることです。

 

この特定技能2号の対象分野拡大を『優秀な人材を雇用し続ける』ための制度として利用するのではなく、
『雇用した外国人全員を2号に移行できるほどの優秀な人材に育て上げる』ための教育体制をつくるきっかけとなってほしいと願っています。
当社は、そのためのサポートをしていきたいと思います。