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【最新版】特定技能1号の転職状況と企業が取り組むべき定着支援を解説2025.12.12

特定技能1号制度が始まって数年が経ち、外国人材の転職状況や受け入れ環境について、具体的なデータや傾向が見えるようになってきました。本記事では、法務省・出入国在留管理庁が公表した資料をもとに、特定技能1号の転職の実態、転職が多い理由、専門職で転職が少ない理由、企業が行うべき定着支援のポイントをわかりやすく解説します。


特定技能1号の転職率

特定技能1号の転職率は、制度開始後の数年間でどのように推移してきたのでしょうか。
下のグラフを見ると、令和3年から令和6年にかけて、転職を経験した外国人材の割合に一定の傾向が見られます。

出典:法務省|転籍制限期間の設定について

令和3年時点では比較的高い転職率で推移していましたが、
その後の年度では徐々に改善が進み、直近では低下傾向が顕著になっています。

この4年間の累計で見ると、
令和3年〜令和6年末までに特定技能1号として在留した外国人のうち、22.4%が転職を経験している という結果になりました。

年度別の推移

  • 令和3年:29.2%
  • 令和4年:28.7%
  • 令和5年:25.1%
  • 令和6年:12.2%

制度が浸透するにつれ改善傾向は見られるものの、依然として高い転職率となっています。

転職は「1〜3年目」に集中

技能取得後の初期段階で転職が多く、受け入れ初期のサポートが定着率を左右することが分かります。

転職が多い理由

特定技能で転職が多く見られる背景には、分野を問わず共通して存在する構造的な課題があります。

企業間の待遇差が大きい
給与や住環境、労働条件に差が出やすく、より条件の良い職場へ移る動きが起きやすくなっています。特に農業・飲食料品製造・外食など、企業規模がさまざまな分野で顕著です。

都市部で働きたいニーズが強い
都市部は求人が多く給与水準も高いため、地方から都市部へ移動する動きが自然に生まれます。外食・介護・清掃など都市部の仕事が多い分野では、特に転職につながりやすい傾向があります。

日本語・コミュニケーションの不安
指示が理解しづらい、相談しにくいといったコミュニケーションの難しさは、特定技能のほぼ全分野に共通する課題です。特に介護や外食など、人とのやり取りが多い分野では影響が大きくなります。

採用時のミスマッチ
仕事内容や残業時間が説明と異なると感じる早期離職は、業種を問わず発生します。農業や製造、外食など “現場ごとの差” が大きい分野で特に起きやすい傾向があります。

これらの要因が重なり、特定技能の中でも転職率の高い分野では、離職が起きやすい構造が形成されています。

分野別の転職率

特定技能の12分野の中でも、農業・飲食料品製造・外食などは転職が多い傾向があります。これらの分野は、労働条件の差や都市部との待遇格差が大きく、求人が多いことも転職理由のひとつです。

転職率が高い分野

分野転職率
農業32.9%
飲食料品製造27.1%
外食業22.2%

これらの分野は労働環境や待遇に差が出やすく、都市部での求人も豊富で転職につながりやすい傾向にあります。

転職率が低い分野

  • 建設:10.8%
  • 自動車整備:15.0%
  • 航空:9.0%

専門職で転職率が低い理由

一方で、特定技能の中でも、建設・自動車整備・航空などの専門性が高い分野は転職率が低い傾向があります。その背景には、以下のような「構造的な理由」があります。

高度な技能が必要で、転職のハードルが高い

専門技術や理解が必要であり、即戦力として転職が成立しにくいため、慎重になる傾向があります。

企業の育成・研修が手厚い

専門人材は「辞められると困る」ため、企業が自然と教育や環境整備に力を入れます。
結果的に職場への安心感が強まり、離職が減ります。

続けるほどキャリアや給与が伸びる構造

経験年数が評価されやすく、続けた方がメリットが大きいため、転職を選びにくくなります。

求人数が少なく、転職先が限定される

空港や整備工場など、受け入れ先が絞られるため、他社へ移る選択肢が少ない分、転職も減ります。

転職後の負担やリスクが大きい

技術基準の違いや再試験の必要性など、転職のリスクが高いことも影響しています。

日本語教育の有無で定着率は大きく変わる

特定技能で最も大きな課題のひとつが、日本語コミュニケーションです。
企業側が日本語学習をサポートすると、定着率が大きく向上するケースが多く見られます。

日本語教育の効果

指示理解が深まりミスが減る

業務効率が高まり、現場の負担も軽減。

人間関係が良好になり、孤立感が解消

心理的安全性が高まり、働きやすさが向上します。

本人の成長意欲が高まる

「この会社に大切にされている」という実感が定着意欲につながります。

職場全体のコミュニケーションが円滑になる

生産性の向上、トラブル減少にもつながります。

企業ができる日本語支援

企業が行える日本語支援は、難しい取り組みでなくても十分効果があります。たとえば、業務でよく使う単語をまとめたリストを共有したり、指示を「やさしい日本語」で分かりやすく伝えるだけでも理解度が大きく変わります。月に1回の短い学習会や、無料アプリを使った自主学習のサポートも有効です。また、相談しやすい先輩を“日本語メンター”として配置すると、コミュニケーションの不安が減り、離職防止にもつながります。

まとめ

特定技能1号の転職率は約22%と高い状況にありますが、企業側の受け入れ体制やコミュニケーション支援を整えることで、定着率は大きく改善できます。実際、転職が多い背景には制度そのものよりも、日々の業務で感じる不安や情報不足、相談しづらさといった“職場環境の要素”が強く影響しており、企業の工夫次第で改善できる部分が少なくありません。

当社でも、就労面だけではなく生活面まで丁寧にフォローする仕組みを整え、外国人材が困ったときにすぐ相談できる環境づくりに力を入れてきました。その結果、全国平均より大幅に低い約10%という安定した転職率を継続できています。これは、適切なサポート体制があれば、外国人材は長く安心して働き続けられるという証でもあります。

つまり、特定技能の定着には制度の理解以上に、“現場で安心して働ける環境” と “コミュニケーションのしやすさ” を企業がどれだけ作れるかが最も重要だと言えます。小さな取り組みでも、継続することで確実に効果が表れます。

今後は、企業と外国人材が互いに信頼関係を築きながら、長く働ける環境を整えていくことがますます求められていきます。



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